| 佐藤哲三が本格的に蒲原の風景に取り組むようになるのは戦後になってからである。残雪は、彼の最後の大作となった《みぞれ》と共に佐藤の風景画を代表する作品である。この作品は自宅療養を続ける哲三が、ようやく筆をとることができるようになった1951年の暮から翌年の春にかけて病床で制作された。「二階の部屋からわずかに見える、町並から田圃につづく道や、拡がる空から、これまでの想像によって、彼の心に湧き上る、懐しい蒲原平野を画面に構成した」と傍に寄り添っていた豊子夫人は回想している。雪国の空や大地が見せる様々な表情が一枚の画面にまとめて描きだされたような作品であり、そこに住む者でなければ決して感得できないであろう自然に対する情感が隅々にまで満ちている。 |
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